『罪と罰』ドストエフスキー

罪と罰〈1〉 (光文社古典新訳文庫)

罪と罰〈1〉 (光文社古典新訳文庫)


随分前のことだけれど(小学生の低学年だった気もするし中学生くらいになっていた気もする)、車を運転中の母が突然私に聞いた。

「萌香はなんで人を殺しちゃいけないか知ってる??」って。

突然だったし、『人を殺す』なんて考えただけでも恐ろしくて、抱いちゃいけない疑問のように思っていたものだから、そのときの問いは今でもたまに思い出すくらい衝撃的だった。

そのあとの展開が、私にさらなる疑問符をつきつけ、24になる今でも時々悩ましい気持ちになる。

しばし考えた私は
「・・・知らない。・・・なんで??」
と答えた。

すると母は激怒し「なんで知らないの!?だめだからだめなのよ!!」と言った。

(だめだからだめ!?理由になってないじゃん!!!!)と内心混乱している私をよそに、母は、「最近新聞で、人を殺しちゃいけない理由を言えない親が増えてるんだって!!萌香は言えると思ったのに、がっかりした!!」的な感じで罵倒された記憶がある。笑


母の怒りがあまりに激しかったので、その後聞くに聞けない話題になり今に至るが、人生における難題のひとつとして、時々思い出しては結局今も答えを導きだせないでいる。

母の名誉のためにひとつ断っておくと、母は私にたいして、道徳教育だとか倫理観念といったものは比較的厳しく私にしつけていたと思う。私が母のように、あんなに熱く道徳について語れるかといったら、まったく自信がない。だから尊敬しているのです。

とゆーわけで、人生において、何度かそんな疑問を口にだしてみたけど、納得できる答えはみあたらず、ある人は私に「人を殺しちゃいけない理由」的な本を貸してくれたけれど、いざその題名を突きつけられると、倫理的な問題以前に人を殺すことに興味がないということを同時に突きつけられた感じがして、読む気持ちもうせてしまい、放っておいた。ごめんね。

でもね、ドストエフスキーの有名な本「罪と罰」は、人をなぜ殺してはいけないのか という命題に一つの案を提示していると思う。

なるほど。そうゆー観点!!
中身はドストエフスキーの筆致に任せるけれど、ドストエフスキーによる犯罪者の心理描写は迫力があって、よくもそこまで描けるなと感動した。
ものすごい説得力なのです。

重苦しいテーマだし、長いし難解そうだし、買ってから読もうと決断に至るまで一年かかったけれど、笑、普通のミステリー作品のように一瞬で読み終わってしまうよ!!

あと、神の愛より人間の愛なんだよ!!

ってわけで、疑問はまだまだ尽きず、なんで人を殺しちゃいけないのか、明確な解答を導き出すつもりもないのだけれど、これから私が母親になり、自分の子供に教え諭す日がくるまで、もしくは来たあとも(ってかくるのか!?)たびたび悩むことになるのだろうけれど、とりあえず、自分の子供にはこの本を贈ってあげようと思う。



罪と罰〈1〉 (光文社古典新訳文庫)

罪と罰〈1〉 (光文社古典新訳文庫)

★5
でも、「百年の孤独」には及ばないの。